しだれ桜と巨大閻魔像の慈眼寺(埼玉県坂戸市)

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真言宗 智山派 由城山 慈眼寺
しだれ観音と巨大閻魔像の慈眼寺
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巨大閻魔像

慈眼寺の新しい柱 巨大閻魔像

巨大閻魔像

しだれ桜の開花時期には毎年数多くの参拝客が集まる慈眼寺ですが、もう一つの柱として誕生したのが、本堂にどっしりと構えている巨大閻魔像です。

慈眼寺には、十王図という掛軸があり、これを使って子供たちに善悪を説くことはできないかと考えていましたが、十王図は傷みも激しく、このたびの閻魔像の製作に至ったものです。
当初、せいぜい高さ60cm程度のものを考えていましたが、それよりはるかに大きいものになっただけでなく、素材から製作工程まですべてが新しい試みを取り入れています。

最初に形ができあがったときには胸の高鳴りを抑えることかできなかったほど、顔の表情や姿勢、威圧感は素晴らしく、しだれ桜と並んで閻魔像を慈眼寺の大きな柱にしていければと期待しています。

第一回絵解き開催

この閻魔像により、子供たちに善悪を説きたいと考え、2013年9月には第1回絵解きを開催し ています。今後定期的にこうした会を続けていきながら、慈眼寺を訪れるみなさんにこの素晴 らしい閻魔像を見ていただける機会を増やしていくことを楽しみにしています。

慈眼寺住職   大塚  龍道
本堂内に祀ってある仏像・閻魔像は、不在時は見ていただくことができません。
(夜間は参拝出来るように照明を点けて透明ガラス越しに扉の外から参拝頂けます)
本堂内でご覧になりたい方は、事前にお問い合わせの上、ご来山ください。
製作者に訊く 巨大閻魔像はいかに造られたか
慈眼寺の新しい柱として期待される巨大閻魔像を製作した仏師の福島実宥氏に、 閻魔像の製作工程についてお聞きしました。
製作の開始時期は?
2013年4月に閻魔大王の作像が決まり、まず形を決定し、正面・背面、横からの見取 図を作成しました(写真1)。奈良の白毫寺の閻魔大王を参考にしてはいますが、背面な どは想像で作像しています。
素材には何が使われていますか?
安置する場所の関係で、まず軽量であることが不可欠でした。1m60cm近い大きな坐像ですから、すべてを石膏で作れば700kgから1t程度になってしまいます。
発泡スチロールだと強度が不足します。密度と強度があり、かつ軽量で予算的に見合うスタイロフォームを採用しました(写真2)
こういう素材で仏像を作った前例がないため、小さいものを試作してテストを行っています。併用するものが石膏ですと強度は得られますが凝固が早いため、木材と同じように釘もノミも使えるものがないか試行錯誤しながらGLボンドの使用を決めました。
写真1

写真1

写真2

写真2

製作工程について教えてください。
まず、強度の極めて高い障子紙を張り合わせて原寸で見取図を作成し、それに合わせて耳や手などの型を取っていきながら、ある程度の全体像を構成していきました(写真3)。
また、土台は、重量がかかるため強度も必要になります。力を分散させるめ底面は太鼓型にし、かなり厚い麻布を当て、セメント系のボンドを塗っていきます(写真4)。
写真3

写真3

写真4

写真4

乾いたらまた同じことを繰り返し、強度を増すことに成功しました。三度目は石膏ボンドで仕上げています。仕上がったものが写真5のような形になります。
当初は重量120kg程度を想定していましたが、強度を上げていくと自ずと重量も増します。ピラミッドのように、下になるほど広く厚く重たくしているため、できあがりは140kg程度になっています。
乾いたらまた同じことを繰り返し、強度を増すことに成功しました。三度目は石膏ボンドで仕上げています。仕上がったものが写真5のような形になります。
当初は重量120kg程度を想定していましたが、強度を上げていくと自ずと重量も増します。ピラミッドのように、下になるほど広く厚く重たくしているため、できあがりは140kg程度になっています。
写真5

写真5

写真6

写真6

閻魔像の眼には特に注力されたそうですが。
像の眼は通常は彫って彩色しますが、閻魔大王ということで、眼球を特に意識しました。
最初は木製の半球を用いましたが、写実性に欠けるため、ガラスをカットして内側に眼を描き入れています。白目部分は綿を当てて後ろから留めてあります(写真6)。
彩色についてはいかがですか。
まず下塗りですが、GLボンドだと粒子が粗く表面がざらざらし、コテやカンナで処理をしても粒が残るため、胡粉(貝殻から作られる顔料)を人工漆で溶いて、乾いたら塗るという作業を3回繰り返しています(写真7)。
強度が足りない部分などはセメダインのパテで補修しました。その後、本塗になりますが、顔と手については深いエンジ系の色、それ以外は茄子紺より黒の強い色にしました。
最初にエンジを縫ってその後に別の色を塗ることで色に深みを出しました(写真8)。
帽子と衣装は、1回目は軽く塗ったあと、次に艶消しの黒を混入したものを塗り、乾いた後で胸や帽子の一部をやすりで掻き出しをして質感を出しました。
写真7

写真7

写真8

写真8

塗りはどのような方法で行われたのでしょうか。
ボンドを溶いたものを手で塗りつけるやり方です。あとは塩ビ系のコテで均していきます。ある程度乾燥するのには日数がかかりますので、塗ったら完全に固まる前にノミで削るなどの微調整を行い、乾くのを待ってまた塗るという作業を7~10日ごとに繰り返したわけです。
完成は2014年5月ということですが、工夫された点や、特に見てもらいたい点などあるでしょうか。
材料の相性、強度、安定感などには苦労しました。 また、像全体がマグマだまりのような怒りで真っ赤に燃え、それが顔に吹き上がっているイメージを出すことに腐心しました。
顔は慈悲深さを感じられる表情を、また姿勢については、肩を意識的に上げ、胸を張らせることで、 正義感や絶対的な自信を表しています(写真9)。
見た方には、純粋無垢で清い心をいつまでも持ち、悪いことをしてはいけないという気持ちになっていただければと思います。
写真9

写真9